
以前、娘が病院で採血を受ける時に怖がって大暴れしてしまって⋯
採血を上手に受けるコツって何かありますか?

お母さんと看護師が協力する事で
子どもが安心して採血を受けられるようになりますよ!
こどもが熱やアレルギーなどで病院にかかった時や、学校の健診等こどもが採血を受ける機会って意外と多くあります。
大人の血管は太くて分かりやすいため採血にさほど時間はかかりませんが、こどもの血管は細く弾力もないため採血するのに時間がかかります。
こどもはその間じっとしている事ができないため、さらに時間がかかってしまいます。
親御さんがこどもの採血について知っておき採血担当の看護師・医師と協力する事で、スムーズに採血を受ける事ができます。
本記事では子どもになるべく負担をかけず、スムーズに採血を受けられるようになるコツを紹介します。
子どもの採血で困っている親御さんはぜひ読んでみてください。
この記事を読んで分かる事
・なぜ病院では採血を行うのか
・子どもが採血を受ける時に親ができる事
なぜこどもは採血を嫌がるの?
こどもが採血を怖がり、嫌がる理由は次のものが挙げられます。
過去に採血や注射で痛い思いをした
アレルギーで通院している患者さんは、半年〜1年に一回程度定期的に採血を実施しアレルギーの検査を行います。また、持病のある患者さんも定期的に採血を行い、病気による身体への影響を調べる必要があります。
このような子の場合、過去に受けた採血で痛い思いをした事がトラウマとなり、採血が怖いものと認識している事が多いのです。
何をされるか分からないため恐怖心がある
初めて採血を受ける子の場合、針を見せるまでは平然と過ごす事ができるのですが、針を見せた途端にパニックになる事があります。なぜ採血が必要なのか、この先何をされるかなどが分からないままだと不安や恐怖を感じてしまいます。
Youtube等の影響で「採血=怖いもの」を先入観がある
病院や採血をテーマに取り扱っているYoutube等の動画では、こどもが怖がっている様子や痛がっている様子を強調して編集しているものが多いです。その映像のイメージが強く印象付けられており、病院や採血は怖いものと感じている事があります。
採血を上手に受けるコツ
もちろん採血を実施する看護師や医師は、こどもへの負担を最小限にするために採血を1回で成功させる事ができるよう努力します。とはいえ暴れて泣き叫んでいる子の採血を成功させるのは技術が必要であるため、採血を受ける側のこどもや親も一体となって頑張る事で、採血の成功率をグッと上げる事ができます。
抱っこの仕方
小さい子で一人で椅子に座って採血を受ける事ができない時は、保護者の膝の上に座って採血を受けます。その際は、対面抱っこではなくこどもも保護者も採血者の方を向く形での抱っこの方がおすすめです。

腕の出し方
採血時はなるべくこどもの腕を真っ直ぐ伸ばし、肘の内側のシワが真上にくるように採血台に腕を乗せます。この時肘が曲がっていたり、腕をキュッと縮めてしまっては針を血管に命中する事ができなくなります。採血時にこどもが動く事が心配な場合は、腕を看護師等に固定してもらう事をおすすめします。固定があれば多少動いてしまっても、採血を成功させる確率は上がります。
血管をより見つけやすくするためには出した手の親指を中にして、力いっぱいグー✊️を作ります。グーをした時としていない時では血管の見え方が変わり、元気な血管の見つけやすさもかなり変わります。
対面抱っこだとこどもが注射針を腕に刺される瞬間を見なくて良いというメリットがあるのですが、採血の際に腕を横から出す事になるため固定がしづらくなります。固定のしやすさ、血管の見つけやすさから対面抱っこではなく親子が同じ向きになる抱っこをおすすめします。
0〜1歳程度の小さい子の場合はベッドに寝て採血をする方法があります。

ベッドに寝て採血を受ける事で
・注射器の針を見なくて済む・腕の固定がしやすい
・暴れてもしっかりと固定ができる
等のメリットがあります。大きい子でも採血を怖がって暴れる場合はベッドに寝てもらって採血をする事もありますので、不安な場合は一度看護師に相談してもらうと良いと思います。
事前に家で練習してくる
病院では『プレパレーション』といって写真や絵を使って採血の方法について説明を行います。事前に採血を受ける事が分かっている場合、家でおもちゃや人形を使って採血の練習をしたり、Youtube等の動画を見てイメージトレーニングができると今から何をされるのかを理解できるため、不安や恐怖を軽減させる事ができます。その際、先にも少し触れましたが「怖い」「痛い」を強調するような動画ではなく、ポジティブなイメージを与えられるような動画を選んでいただけると良いと思います。
採血中好きな動画を見せる、好きな音楽を聴かせる
好きな動画を見せたり好きな音楽を聴かせる事で、泣いたり暴れている子の意識を採血から逸らします。その間に採血を行う事で、採血の成功率を上げる事ができます。
上手に採血を受けている兄弟や友達の様子を見せる
小さいこどもだと採血について説明しても、なかなかイメージするのは難しいです。
実際に採血を受けている子の様子を見せる事で、
・今から何が行われるのかを理解できる
・あの子ができているから自分もできる
という安心感を得る事ができます。
兄弟で採血を受ける際は上のお子さんに『〇〇(下のお子さん)と一緒に応援しているからね』等声をかける事で上のお子さんのやる気もアップし、上手に採血を受ける姿を見せてくれるようになります。特に兄弟や友達等、身近な存在が上手に採血を受けている姿を見ると『自分も頑張ろう』という気になり頑張ってくれます。
機嫌の良い時間帯を選ぶ
採血を受ける子によって、機嫌の良い時間帯・悪い時間帯があると思います。いつもならお昼寝をしている時間帯などに採血を受けると、機嫌が悪くなり泣いたり暴れたりする可能性が高くなるため、できるだけ機嫌の良い時間帯に採血を受ける事ができるよう時間を調整しましょう。
クリニックであれば受診する時間を機嫌の良い時間帯にする、予約が必要な大きい病院であればお昼寝の時間をずらす等できれば、比較的機嫌の良い状態で採血を受ける事ができるのではないでしょうか。
終わったらたくさん褒める
小さい子どもは病気や注射をしたり、病院へ行く機会が多くなります。病院ではいろいろな検査をしたり痛い事をされたりと、『病院は嫌なところ』とネガティブなイメージを持っている事が多いです。
採血が終わったらたくさん褒めてあげる事で、成功体験を得て自信をつける事ができます。できるだけ病院に対してネガティブなイメージを持たないようにする事で、次回からの病院受診に対するハードルも下げる事ができます。
番外編
上記に書いた方法で、採血に対しての不安を軽減する事はできます。
しかし、「痛み」自体についてはこれらの方法では対処する事ができません。
痛みによってパニックを引き起こしたり採血自体に拒絶反応を見せる場合、痛み自体に対処する必要があります。
病院で行っている対処方法としては「エムラパッチ」の使用です。
エムラパッチとは、貼るタイプの麻酔薬の事です。
採血を行う1時間前に針を刺す場所に貼ることで、採血時の針を刺す痛みを軽減する事ができます。人によって効果は様々ですが、エムラパッチを使用すると針を刺している事に気付かない間に採血を終える事ができる人もいます。
エムラパッチは医師の処方がないと手に入れる事ができないため、病院受診の際に医師に相談し処方してもらう事をおすすめします。
体験談
私が働いている病院では、治療のために毎月採血を受けなくてはいけない子がたくさんいます。その中のAちゃん(6歳、女の子)、私がAちゃんに初めて会った1年前は採血を全力で拒否し採血をするのにとても苦労しました。しかし最近は拒否する事なく採血を受ける事ができるようになったのです。その理由は⋯
・本人の年齢が上がった事で理解ができるようになった
・この部屋なら採血を受けられるというお気に入りの部屋を見つけた
・昼寝の後は比較的機嫌が良いため病院受診を午後にした
・年齢が上がり血管が分かりやすくなった事で採血の成功率が上がった
・採血を行う看護師との関係性が築けた
等の理由が考えられます。
今、上手に採血を受ける事ができない子でも年齢が上がり理解できるようになると、上手に採血を受けられる子もいます。また、年齢が上がる事で血管が分かりやすくなるため採血の成功率も上がります。
まとめ
身体の状態を知るために採血はとても大切な検査です。
子どもだけでなく、親も一緒になる事で子どもは頑張ろうと思う事ができます。
採血は少し知識をつけ準備を行っていく事で成功率をアップさせる事ができます。
採血を行う側も患者さんの負担を少しでも減らすことができるよう努力しているので、お子さんの採血への負担を減らす事ができるようお母さん・お父さんと協力できたら良いなと思います。
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